拙論「異人歓待と羽衣伝説―ホスピタリティの系譜学における日本」を『アステイオン』第96号(ISSN 4484222103)に掲載していただきました。
『アステイオン』は、サントリー文化財団が編集を行い、CCCメディアハウスから出版している「アカデミズムとジャーナリズムをつなぐ『鋭く感じ、柔らかく考える』論壇誌」です。
本拙論は、近年各国で台頭している、マイノリティ、移民、外国人に対する排外主義に着目し、「われわれ」と「かれら」をめぐる諸問題を古来の「ホスピタリティ(歓待)」と「プロパティ(所有権)」の緊張関係から再考したものです。その際、三保松原と富士山を二大拠点とする本県の羽衣伝説を、洋の東西の区別を超えたホスピタリティの系譜学に位置づけ、国内(京都府、滋賀県、沖縄県)、国外(北方圏、南方圏、中央圏)双方の天女、白鳥伝説と比較検討しました。最後に、難民や亡命者とより豊かになるための移民を同じように受け入れるべきか、また受け入れ後、国民と同程度の市民的義務を果たせない人々に対してどこまで権利を付与するのかといった問題に対処するには、普遍的な概念を政策レベルで再構築するという地道で困難な作業が必要になる点を論じました。
この掲載については静岡県立大学のホームページでも紹介いただきました。(松森奈津子准教授が論壇誌『アステイオン』において本県の羽衣伝説を日本、世界の異人論と比較考察 | ニュース | 静岡県公立大学法人 静岡県立大学)